サボりでもマイペースでもなく『できない』
スクールカウンセラーとして学校を訪問すると、相談だけでなく授業参観をさせていただくことがあります。
当然いろんなお子さんがおります。 十人十色、三十人三十色です。 大声で話をしたり落ち着きがなくそわそわしたりしているお子さんは目立つので、担任の先生ももちろん注目していて、困った様子があればすぐに対応してくれます。
しかし問題は、一見何も問題がないように思えるおとなしいお子さん。
例えば、一生懸命に黒板の文字をノートに写しているのですが一向に進まない子。
サボっているわけではないし、マイペースと言われればマイペースかもしれない。 でもよくよく観察すると、単に動作がゆっくりとかではなく、『できない』のだな、と感じます。
その子のどんな様子から『できない』と感じるのかというと、黒板の文字を1文字ずつ確認しながら書きうつしていたり、画数の多い漢字になると1画ずつ書き写していたりするところです。
これは、『ほんの数秒の短期間とはいえ、一度にいくつものことを記憶することが苦手な面がある』というだけでなく、『文字そのものをまだ覚えていない』、あるいは『覚えて(記憶にとどめて)いられない』、または『文字のかたまりを単語や文章として認識する力が弱い』のかもしれません。
文字と音声が繋がっていない、つまり『あ』という文字を見た時に頭の中で『あ』という音に変換されにくい可能性も考えられます。
他にも要因はありますが、ともかく、このように本人が困っていても、静かに頑張って授業を受けていれば誰にも気づかれず、テストの点数が伸びないことで初めてわかったり、登校を渋りだして問題が明るみになったりするケースが少なくありません。
ぜひご家庭でも、お子さんが宿題に取りかかる様子を見ていただいて、もし少しでも何か違和感をおぼえたら、担任の先生に相談してみてください。 学習に苦手さを感じている子であれば、宿題の時間になると駄々をこねることもあるかもしれないですね。
そして、『できない』からといって、【努力】をして『できるようにさせる』のではなく、その子に合った【工夫】をして『学習しやすい環境を作る』というアプローチをしていきたいものです。