親の正解を押し付けず、子どもの声を傾聴し受容する
以前『愛情の器』についてお話したことがありましたが、(https://www.a-luar.com/archives/2021/05/20/631/)ご相談を受ける中で、子どもが求める愛情と、親が与える愛情の形がピタッとはまらないと感じる親子がおります。 ただ、どのご家庭も、親からの深い愛情を感じました。 子どももまた、その深い愛情に気づいていました。
ではなぜカウンセリングを受けたいと思うような問題が発生したのか?
それは親が子どもの考えや気持ちを、子どものものとしてそのまま受け取っていないケースが多かったのでは、と思います。
はたから見ると、いつも子どものことを一番に考えていて『溺愛』と思えるくらい愛情を注いでいるのですが、その裏では、
- 無意識に親が子どもに、自分と同じ人格を求めてしまっていたり、
- 子どもには正しいことを判断できる力がないと決めつけてしまっていたり、
- 親子なんだから子どももきっと同じ気持ちだろうと、親の気持ちを押し付けてしまったり、
- 親ができたことは子どもにもできるはずと考えてしまったり、、、、
つまり、子どもを一人の人間としてではなく自分から生まれた分身、自分の一部であるかのように扱っているケースです。
これは子ども達を精神的に追い込む結果となります。 実際に不登校や自傷行為に繋がる場合もあります。
子どもの部屋にノックもせずに勝手に入っていくという行為はまさにその象徴と言えるかもしれません。
『親子だから大丈夫』なんてことはありません。 人間それぞれ価値観も違うし同じ状況でも感じ方は異なるし好き嫌いも違う。 血のつながった親子でももちろんです。
確かに子どもの何倍も長く生きてきてたくさん経験を積んだ親からしてみるとこれをしたら失敗するぞとか、これは大きな壁にぶち当たるぞとか、正解不正解がなんとなくわかってしまって、つい、親が思う正解に導きたくなってしまうものです。
しかしまず、子どもの声に耳を傾けてみてください。 話を聴いてあげてください。・・・〈傾聴〉
それから思いを受け止めてください。 「何を馬鹿なことを言っているの。」と思っても口を挟まず否定せず、最後まで聴いて理解しようとしてください・・・〈受容〉
毎日忙しいとは思いますが、1日5分でもいいので、お子さんと1対1の時間を作ってただただ話を聴いてみてください。
話を聴いて子どもを理解しようとする姿勢でいると、家庭が安心・安全な居場所になります。
普段あまり学校の出来事を話さなくても何か重大な問題が起きた時に真っ先に話そうと思える存在に親がなれれば、家庭を安心安全の基地として、様々なことに挑戦できる子に育つと思います。
【子どもを大事にする=子どもを私物化する】ではありません。 愛情深いがためにそこを見落としてしまっていてはもったいないです。 せっかくの深い愛情なのですから少し俯瞰して親子関係を見つめ直していただくと、もっともっと良い親子関係が築けるのではないでしょうか。