発達特性のある(特に自閉スペクトラム症の)子どもが社会的コミュニケーション能力を身につけるために、どんなことをしたらよいのか。という前回のお話の続きです。
まず、『目が合いにくい・こだわりが強い・感覚過敏がある』などの特性のあるお子さんが、なぜ社会的コミュニケーション能力を獲得しづらいのか。
それは、親子のコミュニケーションに大事な『アイコンタクト・共感・スキンシップ』がスムーズにいかない可能性が高くなるからです。
しかしこれは生まれつきの特性が原因であるため親の育て方や関わり方に問題があるわけではありません。
もし子どもとのコミュニケーションが思うようにいかず、育てにくさを感じているのであれば子どもの発達特性が関係しているかもしれません。
もしくは親自身が、体力的に疲労がたまっていたり、周囲の理解不足や協力不足などによって極度に心が疲れていたりする場合もコミュニケーションに影響を与えるので、思い当たる点があれば専門家に相談してみてください。
さて『アイコンタクト・共感・スキンシップ』の大切さについてです。
アイコンタクトはお互いの心情を読み取ったり同じものを見て共有したりすることに役立ちます。
例えば【親が満開の桜の木を眺めて子どもに目配せする。子どもが親の視線の先に満開の桜があることを認識する。親と目を合わせることで満開の桜の木があるという事実を共有する。】ことができます。
そしてその先に「桜がきれいだね」という共感や心を通わせるという心のスキンシップがなされます。
しかし視線が合いにくい子どもは第一段階のアイコンタクトが難しいため、共感やスキンシップまでの体験もしづらくなります。
また、直接的な手や身体を触れ合わせるスキンシップに関しても、感覚過敏があると手を握られたり抱っこされたりすることが子どもにとって苦痛となり、あやすことさえも困難になってきます。
『上手くあやせない・泣き止ますことができない』となると(決して親のせいではないのだけれど)親は自信を失い、場合によっては子どもを可愛いと思えなくなり、徐々に子どもとの関わりが薄れていくケースが少なからずあります。
それでは、発達特性のある子どもに社会的コミュニケーションの発達を促すにはどのように接していけばいいのでしょうか。
続きはその3でお話します。