失敗といっても様々で、小さいものだと「忘れ物をする、コップの飲み物をこぼす、朝寝坊する」などといった日常でついやってしまうちょっとしたことでしょうか。
身近に起こりうる大きな失敗は「人に大きなけがをさせる、受験で不合格になる」などでしょうか。
大小関わらずここに挙げた失敗は【ついうっかり】とか【頑張ってみたけれど】といったことばかりです。
そもそも失敗とはそういうものですよね。
『やるべきこと』や『やろうと思っていたこと』、『できるはずだったこと』や『できるように努力したこと』など、成功を見据えていたことだからこそ、できなかった時に失敗といわれるのですよね。
期待していたのに子どもが失敗した時、あなたはどんな気持ちになりますか?
どんな時でも「いいよ。全然気にしない。大丈夫。またチャレンジすればOK。」と心から思えますか?
口には出さずとも「ガッカリして落ち込む。裏切られた気持ちになる。怒りがわいてくる。」となることがあるかと思います。 時には(いつも?)口や態度にあからさまに出てしまうこともありますよね。
「子どもが失敗した」ではなく「子どもに失敗された」と思ってしまう方もいらっしゃるでしょうか。
では今度は、あなたが失敗した時のシチュエーションを想像してみてください。
「できるはず」「頑張るぞ」と思っていたことが図らずも失敗に終わってしまった時、あなたならどんな気持ちになりますか?
自分だけで完結する失敗と、周囲を巻き込んでしまう失敗と、いろんなパターンがあるのでその時によって違うかもしれませんが、
・全く気にしない。
・まあいいや、と気持ちをリセットする。
・自分で自分にガッカリする。
・いたたまれなくなる。
・落ち込む。
いずれにしても自分がそう感じている時に相手から「ガッカリして落ち込む。裏切られた気持ちになる。怒りがわいてくる。」といった言動を示されたらどうでしょう? しかもそれが本人以上であったら…。
自分は気にしていない(気持ちを切り替えようとしている)のに勝手にガッカリされていつまでもネチネチと言われたら・・・。
自分で自分を責めて落ち込んでいるところに怒りをぶつけられたとしたら・・・
自分以上に落ち込んで寝込まれたとしたら・・・。 さて、どう感じますか。
自分自身のことなのに勝手にいろんな感情を押し付けられると不愉快に感じたり余計に落ち込んだりしませんか。
こんなことが積み重なっていくと(場合によっては一撃で)、自尊感情が押しつぶされ、自分の存在意義が分からなくなってしまいます。 「失敗する子=ダメな子、親に存在を認めてもらえない子」と感じ、失敗をごまかして嘘をつくのは良くあるパターンですが、もっと大変なのは、成功しても達成感を感じられなくなって挑戦の沼から抜けられなくなり、自らを追いこんで首を絞めていくパターンです。
つまり成功が成功体験として積み上げられなくなります。
何をやってもどんなに頑張ってもそれなりの成果が得られても、満足せず自分を認めてあげられず永遠にさまよい続ける可能性があるということです。
自分が失敗した時にどのように反応して欲しいかは人それぞれかもしれません。 それでも『責める、ガッカリする、落ち込む、怒りをぶつける、裏切られた気になる』といったことはしないように気をつけたいです。 まして本人以上に反応する(特に落ち込む、ガッカリする)のは子どもの心を大きく傷つけます。
できれば本人の気持ちや考えを評価することなくそのまま聴き取り、心配や同情ではなく共感・理解しようとする姿勢でいたいものです。 そして失敗を減らせる方法や代替案を一緒に考え、
「失敗してもこわくない。やり直しできる。違う道もある。誰かが助けてくれる。」そんなことが実感できるような受け取り・受け止め・反応ができるといいのではないかと思います。